振動を活かす

畳は、寝転ぶと本当に気持ちいい。それだけでなく、畳は聾者にとって情報の媒介となることがある。例えば、背後から人が来るとすると、聾者は畳を伝わる振動を感じ取ることで、背後から人が来ることを判断できる。
そんな感じで、畳は聾者にとって、"耳の代わり"になったりすることがある。人によっては、体の一部のようなものだと思う。

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映画を愛する人には、映画で流れる音楽について批評する方がいる。
映画館は大音量かも知れないけど、それでも僕は聞こえない。
だから、音楽のことを言われても、僕は「?」というのが当たり前だ。

それを友人に話すと、「振動があるじゃん。」

確かにそうだ。
でもね、その振動がおかしい。
こないだ、「オペラ座の怪人」という映画を見てきた。
もちろん、振動を感じ取れる椅子で見た。
例えば、怪人が階段を降りるシーンがある。
階段を降りるときの足音と共にドン、ドンというのが椅子から感じ取れた。
でもね、ぶっちゃけその振動は変なんです。
確かに足音を示しているとはわかったんだけども、サウンドをそのまま振動させただけなので、足音をうまく表現した振動ではない。足音をうまく表現できる装置のようなものが出てくると、映画をもっと楽しめるだろうなと思う。

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セラサウンドというものがある。それは、壁や建材をスピーカーにしてしまう。壁や建材などの裏面に接着するので、見えないスピーカーでもある。

壁をスピーカーにしてしまうというのは、壁を振動板にするということであり、壁を触れば振動を感じ取れる。床にも使えるようなので、振動にも頼る聾者の住宅に使えるスグレモノだ。

振動は、聴者にはストレスになることがあると思う。聾者・聴者夫婦の住宅では、その調整が難しくなると僕は思っていた。しかし、セラサウンドを使えば、調整が容易くなる。選択肢が増えたことは嬉しい。

セラサウンドの公式サイトはこちら

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聾者・難聴者にむけた音環境をどう考えるべきか。

まず、知ってもらいたいことがあります。

難聴には伝音性難聴と感音性難聴があるということです。

これらの違いは、聴神経が生きているかどうかです。
伝音性の場合、聴神経は聴者と変わりないので、補聴器等で音を増幅させれば、普通に聞き取れるようになることが多いものです。
感音性の場合、聴神経そのものがやられています。だから、聴神経にいくら音を送っても、脳には伝わりにくいのです。また、やっと聞こえる音量が音の高さによって違うというのも、感音性の特徴です。例えば、僕は感音性ですが、低い声は耳元での大声で僕はやっと聞こえるのだけれども、高い声は耳元での大声でも僕は聞こえません。
なお、老人性難聴は感音性難聴に近いと言われています。

違いがあることを住宅設計等で意識すべきかというと、音楽好きな聾者・難聴者にむけた住宅を除けば、それほど意識する必要はないと僕は考えています。違いは考慮しなくていいけれども、聞こえないことを前提とした設計はすべきだということを忘れないようにしたいものです。むしろ、違いを意識することが大事になってくるのは、音楽堂などの音環境を重視するものを設計する場合、あるいは、音環境をテーマとした研究を行う場合などに限られるでしょう。

最後に誤解のないように言っておきますが、聾者・難聴者みんなが、音を欲しがっているわけではありません。音に接しなくていいと考えている方もいれば、音を頼りにしようとする方もいます。大事なことは、音環境がどうだのこうだのではなく、人の価値観を認めることだと思います。

(※hiroさんの質問を受けて、このエントリーにまとめてみました。)

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先月に日本代表の試合をスポーツカフェで応援していました。

そのカフェはコンクリートに囲まれた空間なんですよ。
コンクリート箱の中では音が響きやすく、そのカフェにいると音を「体感」できます。
聞こえないんだけども、体で音を感じることができるってことです。

聞こえない人々の中にはクラブ好きな方がいます。
「えっ?聞こえないのに、なんでクラブに行くん?」って思われる方もいらっしゃると思うのですが、音を体で感じることができるから楽しめるわけで。

意識して「音を体で感じる空間」をつくるっていう発想はあまりなかったかも知れません。
そういう空間をつくってみるのもいいかも知れないですね!
僕はつくってみたいもんです。

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