設備も重要

聾者と避難の関係は重要な問題の1つと僕は考えている。
そこで、とある地下街で「避難」について調査した。

一般に出口が多い場合、出口を示せるよう避難サインが乱立する。
しかも、地下街(一般的な)では、位置把握がしにくい。
人間は非常時にこのサインを探し出し、それを手掛かりに逃げようとするのには間違いない。
そこで、この地下街で、”逃げて”みた。そうすると、もとの場所に戻ってしまうことがある。
みなさんもぜひ、未知の広い地下街などでためしてみてはどうだろうか。
未知というのは、その空間を知らないほど、元に戻る可能性が高くなるから。

聾者は、視覚的に空間を把握していることが多い。
避難サインをもとに空間を把握し、そこに逃げていく。
でも、元に戻る可能性がある。これではまずいんじゃないか。

こちらに行くと外に出られますよというサイン性を持った「空間」を考えていかなきゃいけない。
今までは、「空間」ではなく、「看板」で示されてきた。「空間」というマクロ視点が足らない。
聾者の1人として、これを提言していきたい。

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4月か5月に名古屋市の栄にある地下街の調査をしてきた。
修士論文のための調査だったのだけれど、今は全く違うテーマを扱っているために、データとかがパソコンの奥に眠っていた。もったいないから、調査をしていて思ったことを、「設備配置・選択のデザイン」という視点で書きます。

栄の地下街は昼間は結構人が多い。(写真・左) 天井高が低いので、歩いている自分の視界には前方からの人しか入らないようなものになる。だからか、人々はランプ(写真・右)の存在に気付いてなかったりする。実は、これは常に回転点灯しているのです。このランプが常に回転点灯しているのは出口を示すためですね。

実はこのランプに落とし穴があります。

夜8時頃を回ると段々と人の気配がなくなってきます。ランプの存在を知らなかった聾者・難聴者は、ランプが回転点灯していることで「何か異変があったのか」と思ってしまうのです。さらに、ランプの存在を知っている聾者・難聴者であっても、人々がいないので、人々を通じて異変を感じ取れない。聾者・難聴者は人々の様子を見ることで、異変を判断できることがあります。

これは、設備を配置さえすればよい、というわけではないということを示していますね。余談だけど、このランプは空間デザイン的にもあまりにひどい。

時間の流れを考え、デザインしていくこと。そうすると、設備配置・選択も“美しく”できるのではないだろうか。

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今ちょうど大学の研究室にいるのだけれど、誰もいません。(23時45分頃)
そういうときに僕は思うことがあります。

廊下には火災警報関連の設備があります。キセノンランプなどですね。
聞こえない人が廊下にいる場合、災害があったときは気付きやすいだろうと思います。ランプが点滅するのだから。

しかし、聞こえない人が研究室内にいるときはどうでしょうか。(研究室には他には誰もいない。)
彼は異変には気付かないでしょう。研究室内には警報関連の設備がないものですから。
室内にいて、異変に気付くこと。それが必要です。

かと言って、室内に単純に非常ランプを取り入れるのも変です。
例えば、あるホテルでは、客室に赤いパトランプ(パトカーの上にあるようなランプ)が設置されており、それを「聴覚障害者に優しい」とアピールしていたりします。その気持ちは嬉しいのだけれど、赤いパトランプを設置するだけで雰囲気が台無しなんじゃないか。

室内で災害を知ることができ、かつデザイン性のある方法。
それを考えていかなければならないでしょう。

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電車に乗っているとき、特に見知らぬ地へ行くときに、聞こえない人は「今は何駅?」ってのを何らかの視覚表示で確認します。聴者もそうだと思います。
今回は、その視覚表示の位置についての話です。

最新の電車は、大抵ドアの上部に「次は何駅」ってのが表示されるようになっています。
僕は存分に活用させてもらっています。
ですが、人が多いときは見えないし、空いていても子どもは見えないというか気付かないでしょう。
(この話をしてくれたのは、友人のyoheiさんです。)
そんなとき、窓から駅ホームの駅名看板を見ますね。
これがどこにあるのかさっぱりわからないときがあります。

ここで疑問が1つ。
駅名看板の位置と電車の停止位置の関係はどうなっているのかってことです。
これは鉄道会社や鉄道線などによって違うようです。
とある鉄道会社の某鉄道線では窓の位置に看板がちょうど来るようになっているようですし、とあるところではそうではありません。(thanks: よっしーさん)
現時点ではどちらかというと、対応させていないことが多いようです。

駅を設計するに当たって看板の位置も調整すると思いますが、このとき電車の停止位置にあわせて駅名看板を調整していきたいものです。
電車のサイズは問題ないかと。
もちろん、サイズは変化しているとはいえ、大きくは変わらないでしょう。
電車内からホームを見ただけで、簡単に「今は何駅?」ってのを確認できたら素晴らしいですよね。
もちろん、駅ホームにいる人が見やすい位置であることも必要ですね。(例えば、階段のすぐ前とか)

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インターホン。ピンポーンって来客をお知らせするやつですね。
インターホンが鳴っていることに聾者が気付く方法として、現時点ではフラッシュランプ(強い光を点滅させる)を用いるという方法が主流です。この方法には問題点が1つあります。それは来客者自体を確認しにくいということです。

それならば、テレビやカメラで来客を確認できるインターホンを用いれば良い。ただ、顔が見えるだけで十分だという人もいるだろうということは別にして、音声コミュニケーションしかできないという問題があります。例えば、宗教勧誘で来た人とは会いたくないでしょうし、怪しい雰囲気を持っているから会わないと思ったら実はちゃんとした用件があったりします。

そこで、次の機能が「全て」含まれているインターホンがあればいい。聾者には好まれることでしょう。
機能1)強い光で来客を知らせる
機能2)テレビやカメラを用いる
機能3)コミュニケーションツールとしてタッチパネル(来客用も含む←これ重要)を用いる。

これらをすべて含めたインターホンは技術的には不可能ではありません。どれも完成されているので、ただ組み合わせればいいだけのことです。しかし、このようなインターホンが存在するという話は聞きませんね。

このようなインターホンをどこかの家電メーカーなどが作ってくれたら嬉しいですね。

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2008年4月以降製造のガスコンロに、過熱防止装置の取り付けが義務づけられています。 実は、これはろう者にとっても良いことなんですね。 何を作っているのかにもよると思いますが、煮こぼれ、吹きこぼれ、沸かし過ぎなどによる音の発生で、聴者は過熱に気付くことがあると思います。しかし、ろう者は目で見ない限り気付かない。

2008年3月以前製造のコンロの場合、過熱防止装置がついていないかも知れません。そんな場合は、過熱防止装置のついたコンロに替えることを検討してみてはどうでしょうか。

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