聴者の世界では、ドアをノックしたとき、その部屋の中から応答があってからドアを開けるのが普通だと思う。聾者である僕がドアをノックした場合、応答が聞こえないのだから、一か八かで開けていくことが多い。いつもドキドキして開けてます。

聾者の生活ではどうしているのかというと、多くはドアを開けておくという方法が使われている。ドアが開いているときは「どうぞ、入ってください」という意味を持ち、ドアが閉じているときは「入らないでください」という意味を持つ。つまり、ドアが開いているときはパブリックゾーンのような、閉じているときはプライベートゾーンのようなものになるわけで、ドアの開閉1つで空間の性質が全く違ってくる。

だから、設計において、ドアの位置・設置の有無は注意深く考えておかなきゃいけないだろう。

※発声できる聾者の場合、ドアの向こうにいる人の名前を声で呼び、出てくるまで待つということもある。聴者と発声できる聾者が一緒に住んでいる場合に多いと思われる。